整備管理者制度の改正について


道路運送車両法改正
 平成15年4月1日改正道路運送車両法が施行され、同法第50条をはじめとする整備
 管理者に関わる法令等が改正、整備管理者制度が見直されました。


整備管理者制度の趣旨
 整備管理者は、本来、使用者が道路運送車両法第47条の規定等に基づき、その使用す
 る自動車の点検及び整備並びに車庫の管理について自主的に安全確保及び環境保全を図
 るための注意を払うべきであるものの、
 ・使用する自動車の台数が多い場合には、使用者自らが点検・整備について管理するこ
  とが困難となり、管理・責任体制が曖昧になるおそれがあること
 ・大型バスのような車両構造が特殊な自動車で事故の際の被害が甚大となる自動車を用
  いる場合には、専門的知識をもって車両管理を行う必要があること
  等から、整備管理者を選任し、使用者に代わって車両管理を行うことにより、点検・整
  備に関する管理・責任体制を確立し、自動車の安全確保、環境保全を図るために設けら
  れているものであります。


選任要件の改正
事業の種類       自 動 車 の 種 類  選任を必要とする台数
新制度 旧制度
自家用自動車 1、乗車定員30人以上の自動車(バス等) 1台以上 1台以上
2、乗車定員11人以上30人未満の自動車
(マイクロバス等)
2台以上 1台以上
3、乗車定員10人以下で車両総重量8トン以上の
自動車(大型トラック等)
5台以上 5台以上
4、上記以外、選任の必要なし   − 10台以上
貸渡自動車
(レンタカー)
1、乗車定員11人以上の自動車(バス等) 1台以上 1台以上
2、乗車定員10人以下で車両総重量8トン以上の
自動車(大型トラック等)
5台以上 5台以上
3、乗車定員10人以下で車両総重量8トン未満の
自動車(乗用車・トラック等)
10台以上 10台以上
事業用自動車 1、乗車定員11人以上の自動車(バス等) 1台以上 1台以上
2、乗車定員10人以下の自動車
(トラック・ハイヤー・タクシー等)
5台以上 5台以上
3、貨物軽自動車運送事業用自動車 10台以上 10台以上



旧制度では道路運送車両法第50条で規定されていましたが、新制度では道路運送車両
法第50条において道路運送車両法施行規則に委任して規定されました。
改正内容とその理由は次のとおりです。
○自家用マイクロバスについて1台以上から2台以上に緩和
 自家用マイクロバスを1台しか使用していない場合は、使用者がその自動車をマイカ
 ーとして利用するなど、使用形態が複雑ではないことが多いことにかんがみ、可能な
 限り使用者の負担軽減を図るため緩和となりました。
○自家用乗用車について選任不要に緩和
 近年の自動車技術の進歩等から、自家用自動車については保守管理について特段の専
 門的な知識を必要としなくなったことにかんがみ、可能な限り使用者の負担軽減を図
 るため緩和となりました。
以上のとおり、整備管理者を選任しなければならない要件に係わる自動車は、保守管理
について特段の専門的知識を必要とする車種に限定されました。


資格要件の改正
       新  制  度        旧  制  度
整備の管理を行おうとする自動車と同種類の
自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に
関して2年以上の実務経験を有し、かつ、地方
運輸局長が行う研修を修了した者であること
整備又は改造に関する5年以上の実務経験を
有する者
自動車整備士技能検定に合格した者 自動車整備士技能検定に合格した者
(削除) 大学の機械系学科修得後、整備又は改造に関す
る1年以上の実務経験を有する者
(削除) 高校の機械系学科修得後、整備又は改造に関す
る3年以上の実務経験を有する者
前2要件に揚げる技能と同等の技能として、国
土交通大臣が告示で定める基準以上の技術を
有すること
 



旧制度では道路運送車両法第51条で規定されていましたが、新制度では道路運送車両
法第50条において道路運送車両法施行規則に委任して規定されました。
改正内容とその理由は次のとおりです。
○実務経験年数の緩和等
 主として技術能力を有することを確認するための点検又は整備に関する実務経験を5
 年から2年に緩和し、整備の管理に関する2年の実務経験を有していることも資格要
 件として認められましたが、管理能力を備えていただくための選任前研修を修了して
 いることが資格要件として追加されました。
○学歴による実務経験短縮規定の廃止
 近年の自動車技術の進展等により、自動車技術が専門化してきており、機械系学科を
 修了したからといって自動車の構造等に関する知識等を備えているとはいえず、整備
 管理者に必要な知識・能力が備わっているとはいえなくなっていることから、当該規
 定が廃止されました。
なお、昭和46年10月9日付け自整第265号の自動車局整備部長通達による自家用
自動車の整備管理者の資格要件付与条件について、一部の地方運輸局において、これを
拡大解釈し、運転免許取得後5年経過することにより資格要件を満たすと解釈していた
ところもありましたが、今後このような運用は認められなくなりました。


旧制度での整備管理者の取り扱い
 平成15年4月1日現在選任されていた整備管理者は、特段の手続きを行うことなく引
 き続き整備管理者としての資格が認められました。
 しかしながら、省令の施行前に整備管理者に選任されていた経験者であっても、施行日
 に選任されていなかった者については、新制度において整備管理者としての資格は認め
 られず、旧制度において整備管理者として行っていた自動車と同種類の実務経験として
 しか認められず、整備管理者に選任するには選任前研修を修了していることが必要とな
 ります。